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高森明勅
2020.8.26 06:00皇統問題

「思考停止」の岸田文雄氏

自民党の岸田文雄・政調会長は8月24日の記者会見で、
皇位の安定継承について問われた。

それへの回答は
「男系天皇を維持してきた歴史の重みは強く感じる。
重みを受け止めて考えていきたい」

というもの(共同通信8月24日、20時19分配信)。

事実上の無回答。

今さら「考えていきたい」とは何事か。
これまで、日本の将来にとってこの上なく大切な同テーマについて、
“何も考えて来なかった”と告白したに等しい。
もし、明治以来の「男系男子」の“縛り”を維持しながら、
皇位の安定継承を図る方策が

あると本当に考えているなら、それはそれで1つの立場だ。
自分なりの具体策を述べれば良い。
そうすれば、その中身が妥当かどうかはともかく、
少なくとも議論の対象にはなり得る。

しかし、これまでの「男系」の縛りに固執していては皇位の安定継承は望み難い、
というのがそもそも、この問題の出発点だった。
にも拘らず、その出発点“自体”を理解しているとは思えない回答ぶり。
呆れた。

安倍首相は、暫く後継者の有力候補に岸田氏を想定していたものの、
近来、それは無理らしいと考え直し始めている、との情報も流れている。
勿論、「ポスト安倍」の人選に安倍氏自身がどれだけ主導権を握れるかも、
不透明になりつつあるが、いずれにしても、同じ「ポスト安倍」絡みで
名前が挙がっていても、河野太郎・防衛大臣とは政治家としての
責任感が違い過ぎる。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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